システム開発の見積もりの内訳とチェックポイントを分かりやすく解説
「システム開発の見積もり書ってどんな特徴があるの?」
「見積もり金額の計算方法は?」
という疑問をお持ちではありませんか?
本記事では、そんな疑問の解決に役立つ内容を
・システム開発における見積もり書の特徴
・システム開発における見積もり書の計算方法
・見積もりの内訳とその内容
・システム開発のお見積もりのチェック・注意ポイント
の順番に解説していきます。
そもそもシステム開発とは何か、また目的や全体の工程が気になる方は、ぜひ下記ページもご覧ください。
関連記事:システム開発とは?システム開発の種類や仕事内容、工程について解説
目次
システム開発における見積もり書の特徴
システム開発における見積もり書の特徴は、以下の3つが挙げられます。
- ・煩雑化しやすい
- ・外注先によって見積もり金額が大きく異なる
- ・見積もり金額が曖昧な部分が多い
煩雑化しやすい
システム開発の見積もりは、開発するシステムの規模や要件によって必要な工数や費用が大きく変動するため、複雑で煩雑になりやすいです。
単純なデザインと機能のみを求めるのか、それとも高度なセキュリティ対策やパフォーマンスチューニングまで求めるのかによって、見積もり金額は数十万円から数千万円の幅で変わってきます。
また、システム開発では要件定義、設計、実装、テスト、運用・保守など、多岐にわたる工程が存在し、見積もり作成には高度な専門知識と経験が求められ、煩雑な作業となります。
外注先によって見積もり金額が大きく異なる
同じシステム開発案件でも、各社の技術力や開発手法、プロジェクト管理体制などの違いによって、依頼する開発会社ごとに見積もり金額が大きく異なることもあります。
最新の開発ツールやフレームワークを活用できる会社は、短期間で高品質なシステムを構築できる一方で、見積もり金額が高くなる傾向にあります。
他方、人件費を抑えるためにオフショア開発を活用したり、テンプレートを多用したりする会社は、比較的安価な見積もりを提示できる一方で、品質面でのリスクが高まることも考慮しなくてはなりません。
見積もり金額が曖昧な部分が多い
システム開発の見積もりには、例えば「画面デザインの修正」や「軽微なバグ修正」など、具体的な作業内容や工数が明記されていない曖昧な部分が多く含まれています。
また、見積もり時点では想定していなかった要件変更や仕様変更がプロジェクト途中で発生したことにより、当初の見積もりから大幅に費用が増加するケースも珍しくありません。
その結果、「見積もり外の作業」として、別途費用が発生することもしばしばあります。
システム開発における見積もり書の計算方法
システム開発における見積もり書の計算方法には、以下の3つが挙げられます。
- ・類推法
- ・ボトムアップ法
- ・プログラムステップ法
類推法
類推法とは、過去に開発した類似のシステムの実績データを基に、新しいプロジェクトの工数や費用を見積もる手法のことです。
この見積もりのメリットは、その他の手法と比較した際、短時間で見積もりを作成できる点です。
過去の実績データが豊富にある場合、見積もりで算出する金額の精度を高めることができます。
一方、デメリットとしては、新しいプロジェクトの特殊性を十分に考慮できない可能性があることです。
そのため、類似点だけでなく差異についても詳細に分析し、見積もりに反映する必要があります。
ボトムアップ法
ボトムアップ法とは、システム開発のプロセスを細かなタスクに分解し、それぞれで必要な工数を積み上げていく手法のことです。
この手法で見積もるメリットは、開発プロセスを細分化することで、各タスクの作業量を正確に把握でき、見積もりの精度が高い点です。
また、プロジェクトの進捗管理がしやすいというメリットもあります。
デメリットとしては、タスクの洗い出しや工数の見積もりに十分な時間と労力を求められ、算出も遅くなることが挙げられます。
プログラムステップ法
プログラムステップ法とは、開発するシステムの機能や画面数などをもとに1ステップを1行のコードに置き換え、必要な工数を見積もる手法のことです。
ステップで見積もりするメリットは、機能要件や画面数といった具体的な指標をもとに見積もることで客観性が高く、システムの規模や複雑さも定量的に評価できる点です。
一方で、コーディング以外の作業、例えば要件定義やテスト、ドキュメント作成などの工数が考慮されないため、実際の開発工数とプログラムステップ数におけるギャップの発生には留意しなければなりません。
見積もりの内訳とその内容
システム開発の見積もりに含まれる主な費用項目には、以下の10個が挙げられます。
- ・要件定義費用
- ・機器購入費用
- ・設計費用
- ・UIデザイン費用
- ・進行管理費用
- ・開発費用
- ・導入費用
- ・テスト費用
- ・旅費・交通費用
- ・運用保守費用
要件定義費用
要件定義費用は、依頼者の要望や課題を明確にし、開発するシステムの機能や範囲を決定する工程にかかるお金です。
この費用を見積もる際には、ヒアリング、資料作成、仕様書の作成など、必要となった工数を含みます。
機器購入費用
システム開発には、ハードウェアやソフトウェアなどの機器の購入費用も含まれます。
また、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器に加えて、OS、データベース、開発ツールなどのソフトウェアライセンス費用も考慮して見積もりを作成します。
設計費用
要件定義で決定した内容をもとに、システムの設計を行うことでかかるのが設計費用です。
主に、システムアーキテクチャの設計、インターフェース設計、データベース設計などが見積もりの項目として挙げられます。
UIデザイン費用
UIデザイン費用は、ボタンやフォントなどのプロダクトとユーザーの接点をデザインする費用です。
デザイナーによるワイヤーフレームの作成、デザインカンプの作成、デザインの修正などは、このUIデザイン費用として見積もりします。
進行管理費用
見積もりに含まれる進行管理費用は、プロジェクトマネージャーによるマネジメントに関する費用です。
納期の遅延やコストオーバーを防ぐ進行管理には、スケジュール管理、リスク管理、品質管理、コミュニケーション管理などが見積もりとして含まれます。
開発費用
開発費用は、設計に基づいてシステムを開発するためにかかる全体の費用です。
システムの規模や複雑さ、使用する技術などによって異なります。
後ほどお伝えする動作を確認するために行うシステムテストが、この見積もりに含まれることもあります。
導入費用
導入費用は、サーバーの設定、データ移行、ユーザートレーニングなど、開発したシステムを実際の環境に導入するための費用です。
システムの安定稼働に直結することから慎重に計画し、トラブルに備えてコンティンジェンシープラン(緊急対応計画)を用意することもあります。
テスト費用
テスト費用は、開発費用の中でも、システムが要件通りに動作するかを確認するために実施する各種テストにかかる費用です。
このテスト工程には、単体テスト、結合テスト、総合テスト、受入テストなどがあり、種類や範囲、テストケースの数などによって見積もりの金額も変わります。
旅費・交通費用
旅費・交通費用は、開発チームとクライアントが直接会って打ち合わせを行う際にかかる費用です。
オンプレミスのインフラを整備する際に開発チームがクライアントの環境で作業を行う出張費用などが該当します。
この費用は、プロジェクトの規模や期間、開発手法などによって異なります。
運用保守費用
運用保守費用は、システムの運用開始後、安定的に稼働させるために行う作業の費用です。
運用保守には、システムの監視、障害対応、データバックアップ、セキュリティ対策、ユーザーサポートなどが挙げられます。
また、システムの改修や機能追加にかかる費用も運用保守費用に含まれます。
システム開発のお見積もりのチェック・注意ポイント
システム開発のお見積もりのチェック・注意ポイントには、以下が挙げられます。
- ・お見積もりの前に要件を固める
- ・数字の根拠が明確になっているか確認する
- ・不明な点があったら必ず質問する
- ・見積もり金額だけでシステム開発会社を決めない
お見積もりの前に要件を固める
システム開発の見積もりを依頼する前には、開発するシステムの目的や機能、ユーザー層、運用方法などを具体的に洗い出し、文書化して明確にします。
曖昧な要件のまま見積もりを依頼すると開発途中で仕様変更が発生し、コストが膨らむリスクもあることから、システムの全体像を明らかにすることが大切です。
数字の根拠が明確になっているか確認する
見積もりの内容を見る際は、単に総額だけが記載されているのではなく、工程ごとの作業内容と工数、人月単価などが詳細に記されているかも確認します。
また、機能要件やシステム構成図など、見積もりの前提となる資料が添付されているかも確認したい項目です。
数字の根拠が不透明な見積もりは、後から追加費用の請求といったトラブルに発展する恐れもあるので注意が必要です。
不明な点があったら必ず質問する
見積もりに含まれる作業範囲や成果物、費用の内訳など、少しでも疑問に感じる部分は確認します。
専門用語が多く、技術的なことがよくわからないという場合は、かみ砕いて説明してもらうことも1つの手段です。
見積もりの段階できちんとコミュニケーションを取っておくことで、相互の信頼関係を築くこともできます。
見積もり金額だけでシステム開発会社を決めない
システム開発会社を選定する際、価格が安いからといって、品質の低いシステムを作られてしまっては元も子もありません。
そのため、見積もり内容の妥当性はもちろん、開発会社の技術力や実績、サポート体制なども総合的に評価します。
また、類似のシステム開発経験が豊富な会社なのか、トラブル発生時に迅速に対応してくれるのかといった点も見極めます。
フェアシステムの見積もり書の特徴
システム開発会社であるフェアシステムの見積もり書の特徴は、大規模なシステム開発プロジェクトでも、必ず項目建てで詳細な見積もりを提示することです。
この項目建ての見積もりのメリットは、見積もりに何が含まれており、何が含まれていないかをお客様とフェアシステムの双方が明確に認識できる点です。
後々の認識の齟齬やトラブルを未然に防ぎ、また「一式何人月」といったあいまいな見積もりは一切作成せず、透明性の高い見積もりを心がけています。
さらに、フェアシステムでは、要件定義とセットで見積もりに対応しています。
システムの内容が不明確な場合は要件定義のみの見積もりにも柔軟に対応し、予算の範囲内で必要な機能や要件を明確化していくことも可能です。
まとめ
システム開発の見積もりは、内訳を理解して適切な計算方法を選択することで、無駄なコストを削減し、適切な予算管理を行うことができるものです。
しかし、大規模なシステム開発では、要件定義の段階で機能や範囲が確定していないことも多く、適切な見積もりを得ることが難しいことが実情です。
その点、フェアシステムではどのような状況下でも、徹底して項目建ての見積もりを作成します。
また、要件定義とセットで見積もりに対応しており、システムの内容が不明確な場合でも、要件定義のみの見積もりが可能です。
システム開発の見積もりでお悩みの方は、フェアシステムにお気軽にご相談ください。